【葬儀のトラブル】 実際にあったトラブル
葬儀の際に取り返しのできないようなトラブルが起きた場合、その責任を葬儀社に負わせる事はできるのでしょうか? まぁ、葬儀という場は簡単にクレームを付ける事ができるのですが、葬儀社の対応には消費者が期待するほどの結果が伴わない事が多いのです。
さて、今回はよくある焼香の際の名前の読み間違いとぶっ飛ばしが起きた場合、誰に、どこまでの責任を求める事ができるのかを、葬儀社側がどう判断するのかという立場で考えます。ただし、全ての葬儀社がここに記載したような冷たい対応とは限らないので、あくまでも参考程度にどうぞ。
喪主の弟の名前が読まれなかった、どうしてくれる!
最近は、家族葬も増えて仰々しく名前を拝読するなんて事も少なくなり、
喪主だけで後の遺族や親族の名前は割愛し、その一族が理解しあっている順番で暗黙のうちに出て済ましていただくケースが増えました。
このような場合では、故人・喪主・導師の情報さえあればいいので1枚の用紙でも済みます。
しかし、一昔前は焼香順位帳というとても仰々しい、昔の商売人が売掛帳として使っていたような左とじの表紙と裏表紙も付いている横長のものを使用し、遠い関係の親族も記入されていたし、突然現れた親族の名前も漏れなく読まないといけないので親族用と代表・一般用にと二冊に別けて使用していました。
急遽記入したりするとミスの原因となりやすいのですが、まずよくあるのが名前の読み間違いで次に名前の漏れです。喪家がうっかり読み仮名を間違えて記入したり、名前そのものを記入し忘れているケースも多かったのですが、そのまま読んでしまった当事者は間違えたという立場で謝るしかない訳です。
消費者側としては文句を言うところがそこしかないので、謝って来た人間に対してその責任を求めるのですが、このケースでは司会者にはミスはありません。ただ、再確認という配慮と責任感が欠けているのは確かで、うわべだけの謝罪を行っているだけになります。
あなたの場合
きちんと作成された焼香順位帳を司会者(葬儀社)が読み間違えをしてしまった場合どうなるのでしょう。
本来なら、焼香順位帳に名前が漏れていた、順番が違うなんて事が起きたら親族同士揉めてしまうような出来事ですが、現代では謝って終わりです。
また仮に、若くして亡くなった娘さんの名前と喪主であるお母さんの名前をいれこで読んでしまったなんてこと。自分の名前を故人として呼ばれたお母さん。できれば代わってやりたいと思う気持ちに対する思いは相当なものです。これも訴訟になったとしても葬儀代金まで賠償されません。
寝台車から降ろす際にストレッチャーを転かして故人を落とした。棺を持つ手が滑り、これも地面に落としてしまった。これでも無理です。これが原因で死亡する訳でもなく、すでに死亡されている方を故意に損壊した訳ではないので、不注意ではあるものの止むを得ない事態であり、不可抗力です。
仮に葬儀社がミスを認めたとしても、それほど多くの金銭が支払われるケースはほとんどないのです。あくまでも訴訟による判決に沿って対応しようとしますので、自主的に迷惑料として誠意を見せる事はまずありません。
では、実際にはいかほどが支払われるのでしょう
このようなケースでなくとも、当初と説明が違う、聞いていない項目があった、そのような事でその請求を却下する事なんてできるのでしょうか。答えはNoです。確かに説明に不備があったとしても、それを証明する事はかなり難しい問題です。
契約内容を記した約款なり規約がある場合、対価に対するサービス内容は決まっており、それ以下もそれ以上もありません。
冒頭のように焼香順位で読み間違いがあった、読み飛ばしがあった、そのために親族間で揉め事が発生し、その関係修復のために交通費や手土産など様々な経費がかかったとしてもそれは別です。訴訟する側には、それを実証するという行為が求められますし、当然、相手がそのミスに至った実務内容を提供する訳はないのでかなり面倒な作業となります。
基本的に葬儀社は「何かがあったから賠償してもらった」となると、その噂が怖いですし、その親族関係での葬儀や友人、地域などの前例となるのが怖いのです。なのでどんな小さな事でも訴訟まで強引に持ち込むところまであります。「訴えるなら、訴えてもらって結構」というスタンスです。
「詫び料」や「誠意」なんてお金は会社は通常出しません。担当者にしても然りです。ただ、裁判まで行く事でのデメリットがあり、様々な要因を勘案して出している場合もありますが、それでもよく出て「付き合いの深い関係の香典と供花代金程度」です。私が支払ったお金も詫び料や誠意ではなく、説明不足なので請求しないというスタンスでした。
葬儀における訴訟は、これまでの判例を見ても「葬儀が終了していれば問題なし」というのがベースにありますから「葬儀代金は支払わない!」と強気に出ても、結局は示談で実費を差し引く程度。精神的な慰謝料なんて数万円認められればいい方で、ほとんどは香典程度の金額でチャンチャンです。
結論で申し上げると、書類に納得がいかない内容があればサインしない事。変動する項目もあり、追加などの際には必ず確認を取ってくるところでサインを求めるなら証拠として残りますから、双方納得できるはずです。口約束でアバウトな事をやってくるところは危険ですし、責任を負わせるのには相当な労力と時間がかかる事を覚えておいていただければと思います。
それと、私のケースのように「初めから支払う気が無く、バックレるつもり」で支払いを拒否しても今は身銭を切ることは、ま〜無いですね。売上単価も低いし、担当者もウハウハの時代では無いので数万円でも確実に訴訟となります。なので無理なクレームはお控え下さい。